宇野亞喜良 万華鏡印刷花絮 Aquirax Uno Kaleidoscope -Behind the Scene-(後期)
宇野亞喜良の印刷実験は如何にして生まれたか
宇野亞喜良氏は日本を代表するイラストレーター、グラフィックデザイナー。昨年米寿を迎え、"黄金の左腕"を武器に、今も第一線で活躍し続けています。
宇野氏は「印刷というのはイラストレーションを確実に復元するんじゃなくて、出来上がったものが良ければそれが一番良い」と、印刷だからこそ実現できる表現に強い関心を示してきました。
ギンザ・グラフィック・ギャラリー(東京・銀座)にて今年1月末まで行われていた「宇野亞喜良 万華鏡」展では、俳句と少女をテーマにした原画を題材に、雑誌『デザインのひきだし』(グラフィック社)編集長の津田淳子氏が22作品の特殊印刷設計に挑み、多数の異なる表現方法が試みられました。オフセット印刷のみならず、箔押し、段ボール紙や新聞紙へのシルクスクリーン印刷、手漉き透かし和紙など、日本各地で行われたさまざまな実験は、オリジナル作品との化学反応を起こし、新たな宇野作品を生み出しました。
本展では、特殊印刷設計から生み出された作品の制作過程にフォーカスし、技法の解説とともに、津田氏の修正指示が書かれた色校正紙や印刷の版なども展示します。完成に向けてどのように試行錯誤を重ねたか、その舞台裏を「印刷花絮(かじょ)(こぼれ話、裏話)」と題し、前期・後期に分けてご紹介します。
時代を超えて普遍的な魅力を放ち続ける宇野作品が、印刷の専門家も驚く姿に変貌しました。紙だからこそ、印刷だからこそできる表現を追求した、印刷実験の成果をご堪能ください。
後期展示作品
- 「薔薇」「月光」ラスター加工(レーザー加工)
- 「虹盗み」油性オフセット印刷+ビーズ加工
- 「猫町」油性オフセット印刷+タマムシフィルム+スクリーンフォイラー
- 「ユニコーンの」Sプリズムプリント®
- 「百合」油性オフセット印刷+シルクスクリーン印刷(ラメインキ)
- 「揚羽蝶」トレーシングペーパー+UVオフセット印刷+箔押し
- 「襤褸市」段ボール+シルクスクリーン印刷
- 「雪女郎」手漉き透かし和紙(越前和紙)
企画展関連イベント
企画展開催中、関連イベントを予定しております!
詳細は当館WebサイトやInstagramで順次お知らせしてまいります。
しおり活版印刷体験:通期開催
当館ご来館の皆様に体験いただけるしおりの活版印刷体験が、企画展会期中限定で宇野氏のキュートなモチーフを印刷いただけます! 企画展の記念にぜひ体験ください。
2階制作室で随時開催しております。お気軽にスタッフまでお声がけください。
※体験はおひとり様1回までです。
※イベント開催時など、一部ご体験いただけない時間帯もございます。あらかじめご了承ください。
「宇野亞喜良 万華鏡印刷花絮」コラボドリンク
1階喫茶では「宇野亞喜良 万華鏡印刷花絮」期間限定のドリンクをご用意しました。
前期・後期でメニューが変わります。ぜひご来館の際にはお見逃しなく。
※商品によっては、販売期間内でも販売終了、または一時的に欠品になっている場合がございます。あらかじめご了承ください。
宇野氏関連書籍・グッズ販売
2階購買では、ggg「宇野亞喜良 万華鏡」展に合わせて刊行された宇野氏作品集をはじめ、関連書籍やグッズのミニコーナーをご用意しております。ぜひお手に取ってご覧ください。本展のポスター(B2サイズ縦)も1,000円(税込)で販売いたします。
協力
特殊印刷設計
津田淳子
印刷設計
大日本印刷 出版イノベーション事業部 ブッククリエイティブ推進室
デザイン
大島依提亜
宇野亞喜良
1934年名古屋市生まれ。名古屋市立工芸高校図案科卒業。カルピス食品工業、日本デザインセンター、スタジオ・イルフィルを経てフリー。日宣美特選、日宣美会員賞、講談社出版文化賞さしえ賞、サンリオ美術賞、赤い鳥挿絵賞、日本絵本賞、全広連日本宣伝賞山名賞、読売演劇大賞選考委員特別賞等を受賞。1999年紫綬褒章、2010年旭日小綬章受章。
主な作品に、『宇野亜喜良60年代ポスター集』、『奥の横道』、『MONOAQUIRAX+』、『宇野亞喜良クロニクル』、『宇野亞喜良ファンタジー挿絵の世界』。絵本に、『あのこ』(今江祥智・文)、『白猫亭』、『上海異人娼館』(寺山修司・原作)、『おおきなひとみ』(谷川俊太郎・詩)、『X字架』、『恋人たち』(穂村弘・文)など。刈谷市美術館、Bunkamuraギャラリー他、個展多数。キュレーターや舞台美術も手がける。
(撮影:白石和弘)